#05 ゴールへの道筋を整える
前田 大地
良いホームページは、点と点だった情報を線としてつなぎ、ゴールまでの道筋を作る。
ユーザーはページ間を移動する
当たり前のことかもしれないが、ホームページはいくつものページとページがつながって出来ている。
ユーザーは、最初に開いたページの中にあるテキストや画像をクリックして、次のページへと進んで行く。そして最後にブラウザを閉じるまで、あちこちのページを行ったり来たりする。
成果を上げるホームページは、まるで「ゴールデン・スランバーズ」から「キャリー・ザット・ウェイト」へ続くように、次ページへの流れが美しいほど滑らかだ。ユーザーは意識することなく自分の問題を解決することができる。
逆に、ページ間の移動に違和感があるホームページは、順路の標識がない水族館と同じだ。ぐるぐる廻った挙句、運が悪ければ一番人気の「ジョーンズくん」の前を通ることができない。
ジョーンズくんがサメなのか紛らわしい名前のイルカなのか、そんなことはどうでもいい。問題は、ユーザーを導けないホームページが、気付かないうちに多くの潜在客を逃しているという事実にある。
ユーザーを目的地へ導く
例えばホームページ上のゴールが「資料請求」だとすれば、最終的に「資料請求ページ」に向かってユーザーを導くことになる。
しかしそれは、単純に全てのページから資料請求ページにリンクを貼ればよいという問題ではない。ユーザーは自分が知りたい情報を辿っていくから、その過程で「資料請求」することが自分の問題を解決する最良の選択だと理解してもらう必要がある。
そこで登場するのが、前回登場したクリティカルコンテンツだ。クリティカルコンテンツとは、ホームページの目的を達成するために必要な内容を指す。それらを繋ぎ合わせてひとつのストーリーを作り、ホームページ全体で資料請求に向かう流れを作るのだ。
行き止まりを作らない
必要な情報が全て揃っているのに、道順が原因で成果の上がらないホームページを、これまで何度も見たことがある。文章も写真も素晴らしいのに、なんてもったいない。
特によく見かける失敗が、ホームページに行き止まりを作ってしまうことだ。
ページを最後まで読み終えたとき、どこにもクリックできる箇所がないと、ユーザーの流れはそこで止まってしまう。ユーザーを導くために重要なのが、ページの内容が終わる最後の部分なのだ。
「ヘッダーにナビゲーションがあるから大丈夫なのでは」と思う人もいると思う。確かに、ナビゲーションには主要ページのリンクがきちんと配置されており、そこから次のページへと進むことができる。
しかし、それだけではユーザーにとって次に見るべきページがどれなのかを伝えることは難しい。多くの場合、ユーザーにはナビゲーションが見えていない。
行き止まりを作らないことが、最もシンプルな解決法なのだ。
ゴールまでの道筋を作る
とりわけ小さな会社のホームページでは、ページ数が少ないために、きちんと導線が設計されないことが多い。とりあえず主要ページを並べさえすれば、それっぽく見えてしまう。
ユーザーの抱える問題を解決できたにもかかわらずそれを逃してしまうのは、ユーザーではなくホームページに責任がある。ユーザーを目的地に導くのは、ホームページの大切な役目だ。
点と点だった情報を線としてつなぎ、ゴールまでの道筋を作ること。それは、あなたにとってもユーザーにとっても、大きなメリットをもたらしてくれる。