Web制作を依頼するクライアントの4タイプ
前田 大地
仕事中、北斗とふたりで「セブンシックスのクライアントは良い人ばかりだね」なんてワイワイ雑談しているとき、ふと気になって「うちに問い合わせしてくる人ってどんな人が多いの?」と、質問してみました。彼はうーんとか言いながらしばらく考えて、かっこよく口火を切りました。
「セブンシックスに問い合わせしてくる人には、3つのタイプが存在する」
「おお!」
「まずひとつめのタイプは・・・」
彼の話がとても長かったので、会話内容は割愛します。詳しく話を聞いたところ、結局、3つじゃなくて4つのタイプがありました。
目次
クライアントの4タイプ
- オレの考えるコレを作ってくれタイプ
- 解決するために力を貸してくれタイプ
- そちらの思うように進めてくれタイプ
- 全部任せるからあとはよろしくタイプ
こうして箇条書きにしてみると、私もウェブ制作歴が長いので、なんとなく彼の言いたいことが分かります。実際にウェブの制作現場でクライアントと接している人なら「この人はきっとこのタイプだなあ・・・」みたいに実際のクライアントを思い浮かべるのではないでしょうか。
制作側がクライアントをタイプ別に分類するなんて、よく考えてみたらすごく失礼な気もするけれど、なんだかちょっと面白そうなのでこれをもう少し深く考察していきます。
では、4つのタイプをそれぞれ詳しく見てみましょう。北斗の話と、私の所感を織り交ぜて、4つのタイプについて考えてみました。
1.オレの考えるコレを作ってくれタイプ
このタイプは、すでに完成形のプランやイメージが頭の中にできあがっていて、それを具体的なホームページとして落とし込んでくれる制作会社を探しています。彼らはモチベーションが高くて責任感も強く、ひとつひとつの工程に目を光らせます。自分自身が「納得」することを重視するあまり、ボタンの掛け違いなどを指摘されても、あえてそのまま進めて「実験」することがあります。
このタイプと相性の良い制作会社
・デザインや技術力が売りの制作会社
簡単に言えば、彼らは優秀な部下を探しています。不足したディテールを補完しながら任務を遂行できる、デザインや技術力に特化した制作会社とは相性が良いでしょう。
2.解決するために力を貸してくれタイプ
このタイプは、自身が抱えている課題をある程度把握しており、解決するための専門的なアドバイスを求めます。あくまで自分自身の課題としてホームページ制作をとらえているため、制作会社に丸投げすることはありません。制作会社の力量を見極めて、任せる境界を決めます。探究心が強く、自身の専門外のことにも興味を持ちます。制作過程で得た経験や知識を、自身や企業の成長の糧とします。
このタイプと相性の良い制作会社
・コンサル力の高い制作会社
彼らは、自分たちの企業が成長するためのパートナーを探しています。密なコミュニケーションと課題解決のための具体的な提案ができるコンサル力の高い制作会社と相性が良いでしょう。
3.そちらの思うように進めてくれタイプ
このタイプは、自分の専門外のことには余計な口出しをせず、その道のプロに一任します。成果物に対する細かなディテールについて要求することは少なく、制作側の提案や考えを尊重します。基本的には丸投げしますが、求められれば協力を惜しみません。制作側が自身の意図をきちんと理解していないと判断した場合、最後の最後でちゃぶ台をひっくり返すこともあります。
このタイプと相性の良い制作会社
・マーケティングに強い制作会社
彼らには明確なビジョンがあり、それにふさわしい成果物を要求します。総じてコンテンツ作成能力を問われる場面が多いため、マーケティングに強い制作会社と相性が良いでしょう。
4.全部任せるからあとはよろしくタイプ
このタイプにとって、ホームページ制作は重要事項ではありません。これまでもこれからもホームページに頼ることなく利益を上げることができると考えているため、とくに必要性を感じておらず、興味もありません。作って儲かれば良し、儲からなければ仕方なし。本人ではなく、周囲の人間がホームページの必要性を感じて制作を進言したり手を回しているケースが多いです。
このタイプと相性の良い制作会社
・特定の業種に特化した制作会社
彼らは、時間も手間もかけたがりません。黙っていても及第点のホームページを作ってくれる、特定の業種に特化した「フォーマット」を持っている制作会社と相性が良いでしょう。
4つのタイプを分ける基準
今回、クライアントを4つのタイプに分類しましたが、これはあくまで実務経験上の肌感覚によって洗い出したクライアント像です。これらの4タイプを、2軸マトリクスによって表すと以下のようになります。
「過程・結果」軸
ホームページ制作において過程を重視するのか、それとも結果を重視するかを表します。ホームページを作る目的は、企業の利益のためです。ですが、利益さえ上がればどんなホームページでも構わないのかと問われると、現実的にはそうでないケースがほとんどです。ホームページ制作というのは面白いもので、それを作るために自社の強みを別の角度から考えたり、社内体制を見直したり、ビジネスそのものを見つめ直す機会でもあるわけです。結果と過程のどちらに重きを置くかの違いは、制作側にとっても大きな影響を及ぼします。
「主従・対等」軸
企業側と制作側との関係性を表します。どちらかを主とするのか、それともお互いが対等なのか。これは依頼者の抱えている課題や目的、価値観によっても変わります。ここでいう関係性とは、「お金を払う側がエライ」といったわけのわからないものではなく、実質的な発言力を指します。当然、どちらのほうが優れているというものではありません。制作側としても、どちらのほうが「相手の期待に応えられる」かは制作スタイルによって得手不得手があります。
制作会社とクライアントにも相性がある
ひとことで「制作会社」といっても色々なタイプがあるのと一緒で、クライアントにもそれぞれタイプがあります。そして、双方の相性というものが存在します。
例えばセブンシックスの場合、北斗が言うには「主従」寄りのタイプとはあまりご縁がないようです。確かに、これまでのクライアントを思い浮かべても「1. オレの考えるコレを作ってくれタイプ」と「4. 全部任せるからあとはよろしくタイプ」は非常に少ない(もしかすると、ゼロかも)という印象があります。
もし、これからホームページを作りたいと考えていて、円滑な制作を望むのであれば、多少面倒でもタイプの違う複数の制作会社に声をかけてみるのが一番の近道ではないでしょうか。