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【HP制作の疑問】個人経営、中小企業にホームページはいる?いらない?迷ったときはこう考えよう。

前田 北斗

セブンシックスの北斗です。

「実際、ウチの会社(お店)ってホームページが必要ですか?」
ホームページ制作のご相談の際に、企業の担当者さまや経営者さまから、このような質問をお受けすることがあります。

もちろん、ないよりもあったほうが良いのは事実ですが、プロである私たちから見て「必要ないのでは?」「もっと他のことに予算を回すべきでは?」と感じるケースもたまにあります。
そんなときは、その旨を説明してから「それでも本当に作りたいか」を再度ご検討いただくようにしています。

今回は、ホームページの必要性についてセブンシックスではどのように判断しているのか、その考え方をご紹介したいと思います。
あなたの会社(お店)にも応用できるので、ぜひ参考にしてください。

どのような状況でホームページが見られるのか、を考える。

「ウチは小さな会社だし、誰もホームページは見ないよ」
「競合も多いし、検索したって上位に表示されないでしょ」
「同業者でホームページ持ってるとこなんて無いよ」

なんとなくホームページはいらない、と思っている方は少なくありません。
しかし、どういう場面でホームページが活躍するのか、具体的に想像できると、その考えが変わるかもしれません。
それでは、2つのケースを通して、ホームページの意味を発見していきたいと思います。

ケース1.銀行員Aさんの話

地方銀行で融資担当として勤務するAさんは、勤続10年を超える中堅社員です。
転勤で初めて来たこの地で、決意を新たに頑張ろうと意気込んでいました。

そんなある日、長年銀行を利用いただいているお客さまからこんな相談を受けました。
「先日、父が亡くなりました。遺産相続のことで兄弟間で揉めてしまっています。弁護士をたてて話合いをすることになりそうなのですが、どなたか信頼できる弁護士を紹介してくれませんか?」

まだ土地勘も無く、近くに知りあいの弁護士がいないAさんは、同僚に尋ねました。
「それだったら、X弁護士事務所かY弁護士事務所にお願いしたらどうかな。何回かお世話になったことがあるからさ。」

Aさんはどちらの弁護士事務所を紹介するか迷いました。
どちらの弁護士事務所も、Aさんにとっては初めてで判断のしようがありません。

そこで、Aさんはインターネットで両方の弁護士事務所を調べました。
しかし、X弁護士事務所のホームページが見当たりません。
タウンページやマップは表示されますが、それだけです。
これでは、今も事務所を営業しているのかすらわかりません。
一方、Y弁護士事務所はホームページがありました。
ホームページ内には、取扱業務が事細かく記載されており、素人にもわかりやすい言葉で説明文が添えられていました。
弁護士事務所としての考え方や、遺産相続を弁護士に依頼するメリット、ご依頼の流れ、大まかな費用についても記載があり、ここなら安心してまかせられそうだ、とAさんは感じました。

後日、Aさんはお客さまにY弁護士事務所を紹介しました。
お客さまはY弁護士事務所と連絡をとり、まずは無料の法律相談にいくことになりました。

ケース2.建築設計事務所の事務員Bさんの話

Bさんは、地元の小さな建築設計事務所に勤務する事務員です。
ある日、上司からこんな事を言われました。
「オフィスの家具や備品、文房具などの注文が簡単にできるところを探してくれないか?できれば近くにあって融通のきくところがいいんだけど。」

今までは、インターネット通販を多く利用していました。
しかし、先日オフィスチェアを3台入れ替えた時、廃棄に手間取ったため、地元の業者でオフィス家具や備品、文房具などを一式取り扱う業者を探すことになったようです。

Bさんは20年以上地元で生活していますが、企業向けにサービスを行っている業者は知りませんし、Bさんの働くような小さな事務所でも対応してくれるのかわかりませんでした。
上司の話だと、コストよりも融通がきくかどうかを重視しているようです。
なおさら困ってしまいます。

インターネットで検索すると、地元に10社以上の業者があることがわかりました。
詳しく知りたいのですが、検索結果のMap上には10箇所以上表示されているのに、ホームページを持っている業者は有限会社Pと株式会社Qの2社だけ。
会社名や電話番号、場所がわかっても、どんな業者かわからないのでは不安です。

早速、有限会社Pのホームページを開きました。
「注文からお届けまで最短1日」「オフィス家具の設置は無料、不要なオフィス家具は引き取ります」「鉛筆1本からお届け」などの説明があり、在庫もある程度保有しているようです。
店内は閑散としていて、お世辞にも綺麗とは言えませんが、地元の製造業や建築業の会社への納品実績がブログに掲載されており、なんとなく融通がききそうだと感じました。

一方、株式会社Qのホームページは、「業務内容」「会社概要」「アクセス」「お問い合わせ」の4つしか選べる項目が無く、詳しい内容がわかりません。
ホームページは新しいし、長年やっている比較的大きな会社だとわかりましたが、知りたいことが掲載されていませんでした。

Bさんは、「有限会社Pに連絡して、どんな感じで対応してくれるか聞いてみよう」と思いました。
連絡を取り、詳しい話が聞きたいことを伝え、後日会うことになりました。

ホームページは、アクションを起こそうとする人が必ず見る。

個人向けの事業でも、企業向けの事業でも、上記のシチュエーションでは、ホームページの存在が相手の行動を変える結果になりました。

2つのケースでは、

  • ホームページがあるか無いか。
  • ホームページにお客さまが知りたい内容が書いてあるか。

この2点が、相手の行動を変える大きなポイントになったと思います。

インターネットが普及してから、「自分が思い立ったタイミングで、知りたい情報を得る」ことができるようになりました。
相手は、ホームページがあることを前提に、あなたの会社のことを調べます。
もし、ホームページが無くて知りたい情報が得られなければ、あなたの会社にコンタクトをとってくれる確率は、間違いなく下がることでしょう。
スタートの段階でビジネスの機会を喪失しないためには、自社のホームページが必要です。

SNSやポータルサイトは、ホームページの代わりになるか。

Facebookやtwitter、instagramなどのSNSで、情報を発信する企業はとても増えてきました。
また、食べログやぐるなび、SUUMOやCHINTAIなど、ポータルサイトで集客を図ることもできます。

「SNSやポータルサイトがあれば、わざわざホームページを作らなくてもいいんじゃないか」と思う方は多いのではないでしょうか。
特に飲食店では、その傾向が強いように思えます。

結論から言うと、「ホームページは必要」です。
なぜなら、「役割が違う」からです。

こんな経験ありませんか?
上司に飲み会のセッティングを頼まれて、食べログでお店を探した。
失敗したくないので、店内の雰囲気や料理についてもっと知るために、そのお店の名前を検索して、ホームページを見てから最終的に予約した。

SNSやポータルサイトは入り口として非常に優秀です。
お店の存在や魅力を知ってもらうきっかけを、作り出してくれます。
しかし、その中で完結せずもっと詳細が知りたいという人は、必ずお店のホームページにアクセスします。
飲食店を例にしましたが、他の業種にも同様のことが言えるでしょう。

誰もが皆、目的をもってホームページにアクセスします。
ユーザーが知りたいことをきちんと伝え、不安を取り除く役割をホームページが果たすことで、最終的に成果につながるのです。

ホームページが不要な企業とは。

そうは言っても、中には、自社のホームページがいらない企業も存在します。

  1. 取引先が固定されていて、開拓の必要がない。
  2. 現時点で、仕事の獲得ルートが確立されている。
  3. 従業員の確保が十分にできている。
  4. 自分たちのビジネスを、世間に広めたくない。

これらを満たすような会社(お店)は、ホームページが必要無いかもしれません。
SNSやポータルサイト、ブログサービスなどを使えば十分だったり、そもそもインターネットでの情報発信が不要なケースだと言えると思います。

反対に、上記項目に該当しない場合は、ホームページ制作を検討する価値があります。
ホームページは、相手からの信頼を得たり、相手の望んだ情報を提供したりするために、とても有効なツールです。
ホームページがあれば、今まで取り逃がしていたお客さまを、獲得することができるかもしれません。

自分に置き換えて、ホームページの必要性を考えよう。

ホームページの必要性を、最後は自分に置き換えて考えてみましょう。

ここで3つの例を挙げてみます。
良い例、悪い例をみて、参考にしてください。

(良い例)
ウチの会社にとってホームページはいりません。
なぜなら、新規顧客は実際にお会いした人を通じて獲得するからです。司法書士事務所を経営していますが、近隣の銀行や不動産業者と良好な関係を築き、お客さまを紹介してもらうのが私たちの営業スタイルです。営業エリアは限られていますし、田舎なので実際に会って関係を築くことが一番大事だと考えています。また、その時にご紹介いただいたお客さまは、その後も何かあれば連絡をくれるようフォローを欠かさないようにしています。新規顧客の獲得ルートとして、現時点でホームページを活用できる場面がありませんし、人材の確保もできているため、ホームページは必要ありません。

(良い例)
ウチのお店にとってホームページは必要です。
なぜなら、来店客のうち予約客が60%以上で、その内の40%が初めてのお客さまだからです。個室居酒屋を経営していますが、開店して間もないため今は順調です。しかし、食べログやぐるなびだけでは伝わらない情報があります。他店より単価を高く設定しているのですが、その理由に納得いただけないと予約してもらえません。そこでホームページでは、お店のコンセプトや内装、使用している食材、コース料理なども1品1品写真つきでわかりやすくお伝えしたいと思っています。あと、大衆居酒屋とは違う、落ち着いた雰囲気をホームページのデザインで表現したいですね。大事な取引先や、恋人とゆっくり過ごしたい時にぴったりの当店を事前にイメージしてもらうことで、新規顧客からの予約につなげたいと思います。

(悪い例)
ウチの会社にとってホームページはいりません。
なぜなら、家族経営の小さな印刷工場だからです。企業さまが印刷を依頼する先は既に決まっていることが多く、新規のお客さまの獲得は難しいのが現状です。地元の商店や市役所関連の印刷が主ですが、紙の媒体は需要が減少していることもあり、今の状況を維持できるよう、既存取引先を大事にすることが得策だと考えています。ホームページを作っても、正直誰が見るのかわからないし、ウチみたいな小さい工場では大きな印刷工場に負けてしまうと思います。

きちんと現状の把握、分析ができていないと判断を間違ってしまいます。
あなたも、ホームページがいる理由、いらない理由を文字にしてみると、頭の整理がつくと思いますよ。

ホームページを作るコストや、更新をする手間などは、この後で考えましょう。
気がつくとホームページの必要性ではなく、そっちの議論になりがちなので注意してください。

結論。多くの場合、ホームページは武器になる。

ホームページが必要な理由は、
必ず、見られるから」です。

ホームページがいる、いらないの議論自体がナンセンスだと言う人もいるくらい、インターネットは私たちの暮らしに溶け込んでいます。
だからこそホームページは、強力な武器になります。
必要がないのは、限られた一部のビジネスだけかもしれません。

ホームページが必要だとなった場合、次に考えるべきは、どんなホームページにするか、です。
「同業者」の真似ではなく、「あなたのビジネス」に最適なホームページにすることが理想的です。
社内で検討したり、制作会社と相談したりしながら、目的あるホームページ制作ができるといいですね。

あなたが、見た目も中身も充実したホームページを手にして、今まで以上にお客さまから選ばれるようになることを願っています。

Web Director / Photographer

前田 北斗

金融機関の融資担当として10年にわたり第一線で活躍。その後、セブンシックスに加入。洞察力、分析力を軸としたWebコンサルティングを得意とし、リサーチや戦略策定、情報設計を担当する。クライアントと向き合うことを信条とし、ウェブ担当者の育成にも力を注いでいる。また写真家としての一面を持ち、カメラ講座の講師も務めた。大の猫好き。

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